描写だけで。

2012/02/14(Tue) 23:28
Mad Men

映画とドラマと、どちらが上でどちらが下か、という話はさておき。
Mad Menを見ていると時々、起承転結なぞどうでもよくなる。ドンやベティ、ペギー、ロジャーたちの人となり、心の揺れ、顔の陰影、着こなし、所作を見ているだけで十分ではないか。その積み重ねの結果見えてくるものを楽しむもよし、何も見えてこなくても結構。一つ一つのかけらを愛おしめばそれでよし。
ロジャーがレストランで酒をオーダーするシーンのスピード感が好きだ。間髪入れずに「ギブソン」、ああなんて美しい酒なのだろう。
ドンが娘の遊戯発表会を参観するシーン。子供たちよりも誰よりもいきいきと踊る教師から目が離せないドン。彼は無意識のうちに地面に手を伸ばし芝に触れる。何がしたいというわけではなかったと思う。彼女の息吹に繋がる何かに触れたかったのかもしれない。自身の中に熱く湧き上がるものを冷ましたかったのかもしれない。すこぶる文学的で美しいシーンだった。そういう小さな美がMad Menのあちこちに散りばめられている。

彼らが生きている姿を眺めているだけで幸せだ。それだけでいい。

そして私の今晩の友はアンスネスの弾くショパンのソナタ3番。酔うったら酔う。

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