古い映画が好きだ。

2012/01/06(Fri) 08:49
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「土曜の夜と日曜の朝」
工場で働くアーサーは「時間はくれてやるけど魂までは売るものか」と意気軒昂な若者。彼は出世欲の強い同僚ジャックの妻ブレンダと密かに付き合っていた。ジャックに対するあてつけか、ブレンダの包容力が心地よかったのか、とにかくアーサーはブレンダにこだわる。ところがある日曜の朝、彼はパブでドーリンという美しい女に出会い、彼女とも付き合いが始まる。ここでアーサーはブレンダと別れるのかと思いきや別れない。彼女の妊娠を知って動揺はするが怒ったり中絶を迫ったりもしない。「君のことが心配なんだ」という彼の顔つきは、ブレンダのことを本当に心配しているようにも見える。逆かもしれない。彼のまなざしは、煮え切らなさと迷いや情の入り交じったなんともいえない微妙な風で人を不安にさせる。
彼らの世界は狭いから、当然のごとくブレンダとの情事はジャックにばれ、破綻。アーサーは勢いでドーリンにプロポーズする。『普通の幸せ』を夢見るドーリンを、やはり微妙なまなざしで見つめるアーサー。俺の人生は『小さなおうち』を手に入れて、子供を作って、テレビの前に座っておしまいか?
友人と釣りをする時、アーサーは妙に素直で子供っぽい顔を見せる。気取って粋がってドーリンを煽る一方、釣りの約束は律儀に守る。憧憬的な釣りの風景がどこか哀しい。
アルバート・フィニーは素敵な若者だったのだなあ。

「長距離ランナーの孤独」
パン屋強盗の罪で感化院へ送られるコーリン・スミス。彼の足の速さに目をつけた所長は、コーリンをクロスカントリー選手に選ぶ。『所長のお気に入り』となった彼は楽な作業場に配属され、走る練習さえ真面目にやっていればよかった。そして所長に勝利を捧げれば感化院を早めに出られるかもしれない。
パブリックスクールとの対抗戦、クロスカントリー本番。コーリンは皆の期待通り大差をつけトップで戻ってくるが、ゴールを直前にして立ち止まってしまう。彼の脳裏には、己の来し方がぐるぐる回っている。俺はこのまま勝つべきか、所長を喜ばせるべきか。俺が勝つべき相手は金持ちのぼっちゃんでもなければ所長でもない、俺自身ではないのか。
最も印象的なのは、感化院の少年たちが「聖地エルサレム」を歌うシーンだ。強盗、万引きなど何らかの罪を-どれも微罪であったろうが-犯して送られてきた少年たちが一生懸命大きな声で「エルサレム」を歌うのである。『ぼくらがエルサレムを打ち建てるまでイングランドの心地よいみどりの大地に』と。せつない。

「悪魔の美しさ」
ファウスト博士は大勢の尊敬を集め業績を讃えられているが、自分では何もなしえてないと虚しい思いでいる。そこへ悪魔が登場。魂をくれると約束してくれたら何でも夢をかなえてさしあげますぞと博士をそそのかす。悪魔の誘いを繰り返し振り切る博士だが、とうとう意志が砕けて、『死後魂を譲ります』の書類にサインをしてしまう。
ジェラール・フィリップ全開。悪魔の魂と純粋な若者の志が同居している様を見事に演じきっている。悪魔役のミシェル・シモンとの掛け合いは絶妙である。随所にユーモアも溢れて楽しく見られる。古びた感じのしない映画だった。

おまけ。古くない映画。
スパイク・ジョーンズの「みんなのしらないセンダック」。頑固でひねくれててクソジジイなセンダック、愛情深いセンダック、不安なセンダック、パートナーや兄姉のいる向こう側へ早く行きたいセンダック。彼の絵本世界を考えると、全く意外ではない『センダックの顔』をはっきり見られて面白かった。
同じくSジョーンズの「アイム・ヒア」。アンドリュー・ガーフィールドの話し方が、あのローテクではかなげなロボットにぴったりだった。次に会う時は蜘蛛男になって空を飛んでいるのか、アンドリュー。

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