色とりどりの布と言葉。

2010/06/05(Sat) 22:13
movies

「ブライト・スター」
白い綿ローン。丁寧にひとすくいひとすくいしながらタックを寄せていく。
ざっくりとした麻。太めの糸でしっかりと縫い止める。
カラフルなニット地、誰がどう織ったのだろう。粋なショートジャケットは、幼い妹トゥーツにもよく似合う。 僕の上着をどう思う?とキーツに尋ねられたファニーは「これはベルベットね」と答える。光沢がありしっとりした生地だ。キーツの友ブラウンは、着るものにしか興味がないつまらない女とファニーを馬鹿にしているが、ファニーの手から生まれるドレスだって彼らの詩や文学と同じくらい美しく雄弁である。ファニーの手から滑り落ちる布布の手触りが、ヴィヴィッドに伝わってくる。ひんやりとなめらかなもの、シャリ感張り感の豊かなもの。ドレスには彼女の気持ちが込められている、込めずには作れないと思う。だから逆に愛する人のためには作れないのだ、愛を込め過ぎて針が止まってしまうだろうから。

ベン・ウィショー演じるキーツ。最初からはかなげで、キーツが夭逝することを知らなくても彼の死が近いであろうことはすぐ見てとれる。くるくると動く瞳が印象的だ。ファニーと話していると、彼女がまぶしくてつい視線をそらしてしまう。初々しい。それもそうだ、キーツは20代前半の若者なのだ。
彼のシーンはとりわけ美しい。花木に埋もれて横たわるキーツはこの世のものとは思えない美しさだった。

映像がまぶしい。どこを取っても輝いていて、胸が踊る。何なのだろう、この輝きは、この瑞々しさは。

ファニーの母ブローン夫人(ケリー・フォックス。「インティマシー」の彼女も母を演ずる年齢になってしまったのだ嗚呼)の寛容と甘受の精神の源は何処にあるのか。ブローン家のつましくもdecentなたたずまいの背景を知りたくなった。
キーツの友ブラウンも面白い。一番の理解者は自分なのだから、ぽっと出のファッション女なぞに取られてたまるものかとファニーに侮蔑的態度でつらくあたる。ファニーとは違う形でキーツを大切に思っていた彼。
キーツの死をブローン家に伝えに来た彼も、ファニーと同様息が止まる思いだったろう。

並外れて美しく、胸詰まる映画。もう1回スクリーンで見たい。

Bright Star [DVD] [2009]
Ben Whishaw
B002VBXPL2


余談1:米盤のDVDジャケットは違う映画みたいだ。

Bright Star
Jane Campion
B002WY65VA

余談2:帰宅後キーツの詩集を開くも、む、難しい‥。

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