「恋愛睡眠のすすめ」

2007/05/31(Thu) 10:05
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私の周囲では評判がイマイチなので期待せずに招待券利用で見てきた。メキシコ人ステファン(ガエル・ガルシア・ベルナル)がアパートの隣室に住むステファニー(シャルロット・ゲーンズブール年齢不詳だなぁ相変わらず)に恋をする。彼女も彼のことが嫌いじゃなさそうなのに、ステファンは夢の中であれこれ作り過ぎて現実とごちゃまぜになってしまって、ステファニーを混乱させてしまう。
多分この映画の肝はミッシェル・ゴンドリーの独特なアート世界なのだと思うが、正直くどい。ノラ・ジョーンズのPV 「Thinking about you」(監督はAce Norton)みたいな風かと勝手に思い込んでいたけど、「恋愛睡眠」のほうが手で作った感じがずっと強い。友人は「クレイアニメのようなイメージに入れない」と言っていた。私は嫌いじゃない、ただ3割方減らしてくんないかな、と思ってしまった。あのクラフト感覚が好きであれば、ものすごく気に入るのだろうな。ガエル君は役柄にぴったりでありました。

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「フランドル」

2007/05/29(Tue) 18:31
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足音がいつも聞こえていた。泥道、草の上、凍った道、砂漠の中、硬い音、柔らかい音、ざくざく、さらさら。登場人物たちは、自分たちが何処へ向かって歩いているのか誰もよくわかっていない。でも歩くしかないから歩いている。

デメステルは1人で農場を営んでいる。バルブは近所に住む幼なじみ。いつもお互いを気にしているし、時々セックスをしている。多分恋人同志だが、言葉にはしていない。デメステルは人に聞かれて「ただの友達」とつい答えてしまう。その言葉を聞いたバルブは、あてつけのようにバーにいた男ブロンデルと関係を持つ。デメステルは心中穏やかではないが、それでも言葉は出てこない。
田舎の生活は単調。何があるわけでもない日々を脱出するために、何か別の道が拓けるような気がして、若者たちは入隊していく。残されたバルブは抜け殻同然となり、心が少しずつ壊れていき、精神病院へ入院させられる。
戦場は男たちが考えていたような新しい世界ではなかった。行軍中敵方の陣地内で孤立した彼等の隊は、1人また1人と殺されていく。最後に残ったデメステルとブロンデルは逃走を計るが、ブロンデルが撃たれる。「置いていかないでくれ」と彼は叫ぶがデメステルは独り逃げるしかなかった。
帰郷。デメステルとバルブは再会する。二人は発狂しそうな世界を経てやっと、お互いを「愛している」と言うことができた。嗚咽しながら愛していると言い続けるデメステルを、バルブは静かに見つめているのだった。

何か劇的な変化が起こったとか、新しい未来が待っているとか、光が見えてくるとかそういうものはわからない。あるのかもしれないし無いのかもしれない。バルブをマグダラのマリアに喩えて、デメステルはバルブに赦されることによって救われた癒された、という見方もあるが、私にとって1番印象に残ったのは、フランドルの風景と足音だった。人はそこで生きていく、何もかもないまぜにして。

というシリアスな映画を見る前に「ボラット」なんてのを見ていたものだから、とにもかくにも「フランドル」の静謐な映像世界に圧倒された。音楽は無し。戦地で兵士がビールを飲む時の『とくとくとく』という音が響いてくる。こういう音を大切にする映画はいい。

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「明日、君がいない」

2007/05/29(Tue) 18:29
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ハイスクールは弱肉強食世界、と登場人物の1人が語るが、本当にそうだ。私だったら彼等の通うハイスクールでは生きていけません。超ガリ勉になるか、おもいっきりオタクに走るか、部活動に精を出すか、美男美女じゃなかったら何か逃げる道を見つけないとつらすぎる。
冒頭鍵のかかったトイレのドアの下から血が流れているのが発見され、誰かが中で自殺を図ったことが示される。物語はその2時37分の数時間前の朝から始まり、数人の高校生が誰にも言えない悩みを語る。そのうちの誰が自殺をしてもおかしくない、エリート弁護士の父を目指して猛勉強するも性的抑圧が強い彼、本当はゲイなのにそれを隠してサッカー選手を夢見る彼、体に障害があり尿が漏れてしまいイジメられる彼、ゲイであることをカミングアウトして以来親からも同級生からも疎まれる彼、兄から性的虐待をうけ妊娠してしまった彼女、17才で運命の人と出会ったと信じ彼のために一生懸命外見を整える彼女。
最後に死を選んだのは、意外な人物。誰に聞いても、悩みがあるようには見えなかった、言ってくれれば助けてあげたのに、と言われる人物。でも既にSOSは発していた、ただ誰もそれに気付いてあげられなかった。誰からも求められず誰からも気付かれず、ただの『いい人』になっていた自分に耐えられなくて、ハサミを手にした。衝動的だが、絶望があまりにも強かったのだろうか。あとすこし時間が過ぎるのを待てたら、世界が違っていたのかもしれないのに。学校が終わるまであと90日だったのだ。

余談。いじめられている彼が自室で聞いてるFA杯の実況は、いったいいつのFA杯だ?ドワイト・ヨークがいる赤組ってかなり前なんだけど。

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「主人公は僕だった」

2007/05/22(Tue) 18:33
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映画を見る前に。なんでこんな名古屋の端っこ(住んでる方には申し訳ありませんが)のシネコンでしか見られないんだー(怒)実家のそばの古いシネコンや郊外あちこちでやってるのに、地下鉄と第三セクター電車を乗り継ぐこと50分、やっと着いたよ。過去、同様の思いをして見た映画は「シティ・オブ・ゴッド」「ステップ・ステップ・ステップ」「バレエ・カンパニー」「スクール・オブ・ロック」など。普通の映画ばっかりじゃん。
ハロルド・クリック(ウィル・フェレル)は国税庁職員、脱税業者の監査の日々。私生活から仕事まで全て定刻主義、歯磨きは上下前後計76回磨く、昼食は45.7分、コーヒータイムは4.3分。決して遅れず、数え間違えないよう正確にカウント。変化とかアクシデントは一切無い筈の人生。ところがある朝、いきなり頭の中で声が聞こえてきた。自分のやろうとしている事をそのまま描写、ただし語彙はかなり豊かで文学的。気が狂ったかと思ったハロルドはあちこち相談するが、誰もまともには取り合ってくれない。そしてある日声はこう語った「このささいな行為が死を招こうとは、彼は知るよしもなかった」声はずっと正しかったから、このままだと自分は死んでしまうのかも。声の主は誰だ?
この映画、かなり評価が分かれてる。『チャーリー・カウフマンが理解できない人間にちょうどいいカウフマンもどき』これって私のことか、オイ(^^;)。別に理解できないわけじゃないけど(と言い訳してみる)、私はこっちのほうがいい。だって主人公がおろおろしてて、行動が愛おしいから。ウィル・フェレルの役どころも賛否両論、いいじゃない、らしくなくても。「エルフ」の時もそうだけど、この世に降りてきたばかりでどうしたらいいかわからない、みたいなおどおどした感じが今回も合ってると私は思う。『エマ・トンプソン演じる作家がわざとらしい』エマ・トンプソンだからそういうもんですよ、あのイギ英語のナレーション私は快適で好きなんだけどな。音楽担当は「ヴァージン・スーサイズ」「マリー・アントワネット」を担当したブライアン・レイツェル、『選曲は違っても似てない?』私は「ヴァージン・スーサイズ」が嫌い、「マリー・アントワネット」は見てないからいいんです。サントラ注文しましたよ、ふん!
そりゃ傑作ではなーい。ウッディ・アレンやカウフマンを見よ!という声(しかしカウフマンってそんなにいいのか)に抵抗する気はございません。でも終始楽しかった、マギー・ギレンホールもキュートだった。シカゴで撮影したそうですが、リアルな感じが無くて、80年代ぽかったり、時と場所が不特定で不思議に懐かしい画面だったのも私は好き。
「バベル」をほめなくてこれをほめるなんて映画見るセンス無いと言われてもいいよ、好きなものは好きだから。

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今日は3本立て。

2007/05/20(Sun) 18:34
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「ハッスル&フロウ」Dジェイ(テレンス・ハワード)はしがないポン引き、おんぼろ車に娼婦ノラを乗せ営業活動、ホテル代も出せないので客の車で仕事をさせている。ハッパを仕入れて売ってもいるけど大金にはならない。日々をしのぐのがやっとの生活。
ある日偶然高校時代の同級生キーに会う。キーは録音技師の仕事をしていて、Dジェイとノラは彼の教会での仕事に付き合う。美しいソプラノとコーラスによる讃美歌は、Dジェイの心を強く揺さぶる、もう一度音楽の仕事をしたい。
Dジェイはキーの家へ押し掛け、自分の作ったリズムをキーに聞かせる。迷惑顔だったキーの表情が変わり、昔の情熱が戻ってきた、自分のスタジオを持って自分の音を作りたい。そして二人の音作りが始まる。最高のデモ・テープを作って、近くメンフィスへ戻ってくる地元出身のスキニーに聞いてもらい、道を拓くのだ。
キーが、ミッチェル@シールドだった。シールドの時は不敵な笑みを浮かべてヴィックたちの邪魔をする人だったけど、このミッチェルは太ってて顔の大きな性格の良い人。万年金欠のDジェイのために卵の紙パックを壁にぺたぺた打ち付けて防音部屋を作ってあげる、健気な友だ。
こういう話はまずハッピーエンドにはならないのが常、頑張って最高のデモ・テープは出来たけど最後にアクシデントが、とか、ネタを盗まれてとか、人生谷有り谷ばっかりで終わるのかと思っていたら、そこそこハッピーエンドだったのでほっとした。現実はそんなに甘くない、ってのはよくよくわかってるからたまには明るい未来で終わってほしい。夢は誰にでも持てるんだもん。
「40才の童貞男」40才の今現在まで童貞のアンディ(スティーブ・カレル)が、トリシュ(キャスリーン・キーナー)に出会って紆余曲折の後幸せを掴むまでのオハナシ。私があららーと思ったのはアンディを取り巻く三馬鹿トリオの1人ポール・ラッド。いつの間にこんなだらしない風体になっちゃったのーって98年の「私の愛情の対象」の時と比べるのは酷か。2年前に振られた女に未練たらたら男、マイケル・マクドナルドの歌声に耐えられなくてキレる男にぴったり(私はあの高音が嫌いではない。あのクドさが好きだ)。アンディのオタク部屋もいいですね、フィギュアは箱から出したらダメなんだよねーそうそう。これはレンタルで見てちょうどいい映画かな、と。
「バベル」見ましたよ、ああここが気分悪くなるとかならないとかのシーンなのね、気持ち悪くはならないけど目がチカチカしてくるので、もうちょっと短くして欲しい。
言い出すと悪口になっちゃうのでこの映画に関してはパス。日本人女優さんについてもパス。いや、悪口言うほどでもないけど、絶賛するところも無いので。
そしてただいまFA杯決勝青組vs赤組を消音で鑑賞中。FJは副音声付けろ!と毎年要望メール出してるけど付くはずもなく。最低最悪の実況を聞かされるよりは音無しで見るほうがマシ。これで06-07シーズンがとうとう終わるなあ‥。

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「約束の旅路」

2007/05/01(Tue) 18:57
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私の勤務先からそう遠くない場所にある某都市銀行で立てこもり事件が起きたそうで。1時間で解決したからよかったですね、流血も無し。何年か前にも今日の銀行より更に近いところにあるビルで同じく立てこもりがあり、あの時は火事も起き、死者も出ました。たまに馴染みの住所が全国ニュースで読み上げられると、これです。
もし出勤日だったら、嘱託のおじさんがきっと野次馬しにいっただろうなぁ。

と、関係ない話でした。本題に入ります。
「約束の旅路」2005フランス、ラデュ・ミヘイレアニュ監督
1984年イスラエルは、エチオピア系ユダヤ人をイスラエルへ移住させる『モーセ作戦』を敢行。スーダンの難民キャンプからイスラエルへ飛行機が飛んでいった。主人公の少年はユダヤ人ではなかったが、母親が半ば無理矢理飛行機に乗せる。「行きなさい、生きて、何かになりなさい」と願いを託して。その日から少年はユダヤ人のふりをし、シュロモと名乗り、偽りの人生をおくることになる。9才の少年にとって、それがいかに苛酷だったことか。優しい養父母に引き取られても、彼の混乱は終わらなかった。黒い肌への差別も強く、何度もくじけそうになる。本当の自分は何で、自分は何になればいいのか、何をすればいいのか。母は「何かになりなさい」と言ったが、どうしたらいいのかわからない。
それでもシュロモは、宗教指導者のケスという心の支えのおかげもあり、なんとか成長し、理知的な青年に育った。ユダヤ教の討論会で優勝することもできた、周囲から見れば彼は立派なユダヤ人。医者になるためにパリへ渡り、帰国後イスラエル軍の軍医として働くが、アラブ人の負傷者を助けようとして「寄るな」となじられ、同僚からも味方をまず助けろと責められる。自分自身の存在の拠り所は、未だ掴めていない。『顔の無い人』のままだ。

幼年時代の部分に、とても心を打たれました。9才の子供が「今日からあなたは別人になるのよ」と言われて、はいそうですか、となれるわけがない。ろくに口も利けず、ものも食べられない。月を見ては母を思い出し、母を置いてきてしまった罪悪感に苦しむ。それでも生きて何かにならねばならないのだから、彼は学んでいくしかない。
成長すればするほど、自分が常に嘘を生きているという思いが強くなり、更につらい。家族は大好きだし、ガールフレントのサラも大好き、このまま彼等を騙し続けていていいのだろうか?
終盤、シュロモはやっと『嘘』を打ち明け、いったんは彼の元を去ったサラも彼を許し、シュロモにやっと心の平安が訪れる。そして最後、『国境なき医師団』の一員として訪れた難民キャンプで、奇跡的に母親と再会する。彼の長い旅がやっと終わった。
というこのラストの辺りが、多少急ぎ過ぎかなと思わないでもない。前半が良かったので余計そう思う。

この映画を見たのは昨日で今日は「パラダイス・ナウ」を見てきました。パレスチナ人青年が自爆テロ実行犯に選ばれ、粛々と準備を進めるも、心の底ではざわざわと動くものがある。その48時間を描いた作品です。機会があれば是非ご覧下さいませ。

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