「ブラックブック」

2007/04/22(Sun) 19:00
movies

1944年オランダ。ユダヤ人女性ラヘルは隠れ家を追われ、レジスタンスを名乗る男に騙され、家族を全員殺された。かろうじて生き延びた彼女は、レジスタンス活動に参加することに。エリスと名を変えてナチス諜報部将校のムンツェに近付き、諜報部の部屋に盗聴器を取り付け、情報を集める。ナチス対オランダ、ナチス対ユダヤ人、そしてオランダ人対オランダ人、諸相が錯綜し、レジスタンス活動はほころび始め、エリカが密告者だという結論になってしまう。実際には、ナチスにユダヤ人情報を流している、ある重要人物がいた、その人物の持っている『ブラックブック』には裏切りの全てが記されている…。

登場人物たちを襲う裏切りの連続から目が離せません。南部に逃げれば安全に暮らせると約束した男に裏切られたエリスたちユダヤ人、公証人スマールはエリスを始め多くのユダヤ人たちを助けレジスタンスにも参加していたが、実はナチスと結託していた。ムンツェは同僚フランケンに裏切られ、終戦後は連合軍に寝返った上級将校に裏切られ銃殺。エリスは更に、信頼していたレジスタンスの同士ハンスに裏切られる。致死量のインスリンをうたれ、あと一歩で死ぬところだった。ハンスはエリスだけでなくレジスタンス活動全体を裏切っていた。エリスに全ての罪を被せ逃げ切る寸前、読みを誤った。エリスはただの美人ではなかったのです。
誰もが生まれながらの悪人ではなかっただろうに、生きるか死ぬかの瀬戸際で自分の命を優先させるのは当然といえば当然、好きで裏切っているわけではない、生き延びるための手段なのです。戦争とは兵器で戦うことだけではない、日常全てが、敵国人も同国人も全てが戦争の対象なのでした。
ポール・バーホーベンは歴史の暗部を重暗く描くのではなくて、娯楽性もたっぷりにまさに力業的にどーんと進めていきます。主人公のエリスが頭髪を金髪に染めるだけでは足りないと、下の毛も染めるところ(ボカシ入りません(^^;))なんて、笑っちゃいました。何もそこまで見せなくても。ムンツェは「善人のためのソナタ」でドライマンを好演したセバスチャン・コッホ、彼とエリス(カリス・ファン・ハウテン)が画面に大写しになると、大迫力カップルで見応え十分。ハンスも枯れた魅力があり、惹き付けられます。
最後は1956年のキブツで終わります。エリカは戦後ラヘル・シュタインに戻り、イスラエルへ渡り、教職についていたのでした。でもそのキブツにも次の戦争の足音が近付いている、『ブラックブック』は終わらない、きっちり現代につなげています。

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「ブラッド・ダイヤモンド」

2007/04/22(Sun) 18:58
movies

1999年シエラレオネ。反政府軍RUFに捕らえられ、闇ダイヤの採掘場へ連れてこられたソロモン・バンディー(ジャイモン・フンスー)は、巨大なピンクのダイヤモンドを発見する。そのダイヤを軸にソロモン、密売人のダニー・アーチャー(ディカプリオ)、ジャーナリストのマディ・ボウエン(ジェニファー・コネリー)の人生が交錯する。ダイヤが手に入れば、ソロモンは家族を取り戻すことができる、アーチャーは自由を手に入れアフリカから出て行ける。

何がいいって、ディカプリオ。圧巻はRUFの攻撃をかいくぐってソロモンと逃げるシーン、生死の瞬間をかぎわけ、銃弾の波をくぐり抜け、走る走る走る。決して迷わずここしか無い進路をとる。検問をくぐり抜ける時も凄い。捕虜のふりをしてソロモンの後ろに従い、相手が「白人を連れてきたのかよ(ニヤニヤ)」と警戒を緩めたとみるや、瞬時に撃つ。躊躇とか息を整える間とかそんなものは存在しない、とにかく撃って前へ進む。『好演』という言葉では表現できないくらい、ディカプリオはダニー・アーチャーだった。彼の果敢な表情を見ていたら泣けてきた、珍しいことに。
ジャイモン・フンスーも様々な表情を見せる。優しい父親だった彼が家族もプライドも奪われ抜け殻のようになってしまう。アーチャーに利用されていることはわかっていたが、RUFに奪われた息子と難民キャンプにいる妻と娘を取り戻すために、ピンク・ダイヤモンドの元へ向かう。息子を奪ったRUFの幹部を殴り殺した時のソロモンは、憎悪と哀しみで人相が変わってしまったかのようだった。彼にとって人を殺めるなんてあってはならないことだったが、抑えることができない。
紛争ダイヤモンドを扱わないというキンバリー・プロセスが制定され、ソロモンは家族揃って幸せになることができた、というところで映画は終わる。もちろん今でも闇ダイヤの取引は続いている。ソロモンの息子ディアは抜けられたが、今も消耗品扱いされている少年兵が20万、30万といる。現実はそれほど変わってはいない。それでもソロモンとマディの笑顔で映画を締めくくってしまうのが、ハリウッド映画の甘いところだと思うけれど(ディカプリオ崖っぷちのところで終わっていたら、それはそれでヒーロー映画的エンディングになってしまうが)、善悪ないまぜの現実をそれなりに描いて、見応えのある映画だったと思います。
それにしてもディカプリオ、次作がとても楽しみです(何だろ?)。スコセージ先生、「またいっしょに映画作ろうな」と言ってましたよね、いい映画作ってあげてくださいよ是非。

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Law&Order SVU S1#11

2007/04/17(Tue) 21:04
FOX系

ゲイの若者セス・ラングドンが殺されたのは、運が悪かったから。彼に問題は何もない。父親は『同性愛は治せる』とうたう道徳家だが、彼が殺したわけではない。痴情のもつれがあったわけでもない。ゲイ・パーティが開かれたアパートの1階に住んでいた男ジェシーと、その兄レイに問題があったから。二人は幼少期父親に性的虐待をうけていた。兄はレイプと傷害で15年服役、弟は「自分は父親にレイプされていない」と偽証した過去を抱えて、兄から毎週のように責められ、罪悪感の塊と化していた。仮釈放になった兄は弟の家に押し掛け、更に弟を苦しめ、罠にかける。お前も罪を犯す、それが俺たちの運命だ、と弟をコントロールした。罪悪感と、性的虐待を受けた心の傷と、兄への憎しみ、全てが混乱して、ジェシーはセスを殺してしまった。時間をかけて兄は弟の人格を破壊し、その仕上げにセスが利用され、殺されてしまった。

本筋の隣でマンチ大活躍。セスの監視役の尋問中関係ないことで熱くなりすぎ脱線、「キャシディはいないのか、ったく」とボスにあきれられる。笑えた。ベンソンの出自について知り、ベンソンに情報を提供する。いつもシニカルでどこまで本気かわからないマンチだけど、根っこは誠実。ベンソンを助けたいと心から思っている、優しいよ。
そしてステーブラーもナイトのようにベンソンのそばに立つ。ステーブラーとマンチに守ってもらえるなんて幸せだーっっ!(違)
捜査のキーポイントとなる、パーティを映したビデオを提供した警官バンドリーニ、涼やかなお顔。警官はゲイであってはいけないと条例で決まっているわけではないが、実際にはかなりつらい。
母親のレイプ犯=自分の父親かもしれない男を見に行ったベンソン、「彼は父じゃない、絶対に違う」と言うけれど、否定する彼女を見つめるステーブラーのまなざしは複雑だった。性癖は遺伝するとか犯罪人の子供は罪を犯しやすいとか、気軽に話す同僚たちのそばで、心を痛めているベンソンを誰よりもわかっているのはステーブラー。
かっこよかったのは地方検事のアビー!レイのほうが罪が重くなるようにするわ、任せて、ぽんっとボスの肩をたたく。そのさりげない仕草とややしゃがれた声がかっこいい。
毎週厳しい話が続きます。

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Law&Order SVU S1#9 Stocks & Bondage

2007/04/02(Mon) 21:02
FOX系

女性が首を吊って死んでいた。鑑識は自殺だと主張するが、そうとは言い切れないとステーブラーたちは主張。全身にピアスや多数の傷痕がある。彼女はレイラ・ブリッグス、ウォール街で投資アナリストとして働いていた。
母親は自殺なんてするわけがないと言うが、娘の本当の心の内はわからない。理解しようと努めてはいた、事件の日もケーキを持って娘の部屋を訪ねて、SM衣装で首を吊っている娘を発見。警察が来る前に革の衣装をガウンに着替えさせていた。哀しい親心。SM服を調べると、他人のDNAが付着していた、つまり誰かがいっしょにいたわけだ。また、鞭の柄には50万ドル相当のダイヤモンドが隠されていた。相手はいったい誰で、ダイヤの意味するところは何だ?
レイラの会社の社長フランク・マーティン、レイラの上司ショーリン・フー、皆がレイラの性癖やダイヤのことを承知していて、全てノーマルな風を装う。
レイラが担当していた慈善団体『ニュービジョン基金』は、マーティン・ファンドによって資金洗浄に利用されていた。その組織の代表者によって、レイラが参加していたSMパーティの存在がわかり、その筋からフランクの暗部を知る女性を発見、不法滞在を移民局に通報するぞと脅して、彼女に危ないセックスを強要していた。それは首を締めて窒息死寸前まで追い込むものだった。
ステーブラーたちがマーティンの会社を再度訪問、彼等は跡形もなく姿を消していた。マーティン・ファンドは詐欺会社だったのだ。レイラ殺しの容疑者として引き続き彼を追うSVU。そこへ登場するのが、テネシー州商務局の検査官タッカー、退職金の運用をマーティン・ファンドに任せていたので実態調査にきたという。テネシー州の金はとりあえず無事らしい。
ショーリン・フーがダイヤモンドを売りにきた。彼女の恋人はデヴィッド・ケルプ、ニュービジョンの代表。そして彼も殺されていた。ダイヤを現金化した後ショーリンがフランクと会う約束をしていたホテルの部屋へステーブラーたちが向かうと、そこにはタッカーがいた。間もなくフランクも捕まる、高飛びは失敗。
タッカーとフランクは幼なじみ、子供の頃から同じ趣味、女を吊るしていたぶることが大好きだった。涼しい顔をして獣以下の卑劣な男たち。

彼等の周囲に集まる女性たちの弱みや趣味につけ込み、己の歪んだ欲望を満たしていた男二人。二人とも育ちが良さそうで、つるっとしたきれいな外見。しかし一皮むけば、下劣な本性が姿を現す。ベンソンたちの取り調べに対して「ひどいじゃないか」と抗議するフランクに向かって、「秘書の太腿に煙草を押し付けたり、お年寄りのなけなしの年金をかすめとったり、息が出来なくなるまでレイラの首を締めて、死体をお母さんに見つけさせてしまう、そういうのを本当のnastyというのよ」とベンソンは言い放つ、全くその通りだ。
昔、女たちを吊るしてもてあそんだのは「退屈しのぎだよ」とさらっと言うタッカーに、いつも冷静なジェフリーズもキレた。二人とも腐り切ってます。

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アメフト映画は面白い。

2007/04/02(Mon) 19:01
movies

Invincible
1976年フィラデルフィア。高校の1年間しかフットボール経験はないが、かける情熱は人一倍のヴィンス・パパーリが公開トライアウトで監督の目にとまり、遅咲きプロ・デビュー。スタートでつまづきこそすれ、諦めずに気持ちを立て直し、ホームスタジアムでの感動的な勝利の原動力となる。
産業が斜陽になり、多くの住民が明日に希望を持てないから、せめて地元チームに頑張ってほしい。ところが当時のイーグルスは弱小もいいとこ、対ベンガルス戦の惨敗シーンで映画は始まる。技術や戦術以前に勝つ気があるとは思えない投げやりな選手たちに、ホームのファンたちはブーイングの嵐。あんな下手なプロはないでしょうと思ったけど、おまけ映像の『ヴィンス・パパーリ物語』で当時の記録映像が流れて、本当に下手だった、びっくり。
ヴィンス・パパーリは臨時教員の職を失い、妻に去られ、人生どん底状態。同じ頃、UCLAでローズボウルを制した新コーチ、ディック・ヴァーミールがイーグルスに就任。前代未聞の公開トライアウトを行うというニュースが流れて、ヴィンスは参加することに。
ヴィンス役のマーク・ウォールバーグ(セミロングの髪型はぜーんぜん似合いません)はアメフトのシーンをほとんどスタント無しでこなしたそうです。監督に求められてそうしたのかどうかは知りませんが、映画にとってはいい効果を与えたのでは。
ヴァーミール役はグレッグ・キニア。彼の風貌や雰囲気がいかにも『西海岸から来た男』風。顔の歪め方がいいんだ。カリスマ性には欠けるけど、若き野心家って感じが良い。
「OZ」のアルバレス、 Kirk Acevedoがヴィンスの親友役として出演シーン多し。ヴァーミールの妻は「ザ・エージェンシー」でテリー役だった彼女。イーグルスのオーナーは「コールドケース」「Law&Order SVU」にも出たMichael Nouri。
アメフト映画としては「Friday Night Lights」のほうが盛り上がりもあったし、キャラクターがカラフルだった。オリバー・ストーンの「Any Given Sunday」の実戦シーンは独特なカメラ回しもあってか、絵的にとても面白かった。「インヴィンシブル」はそれらよりちょっと落ちるけど、私は十分楽しみました。アメリカにはこういうシンデレラ・ストーリーがどれだけあるのだろう、次から次へと出てくる。パターンは同じだけど、見せ方がうまいんだよね、じーんと感動させられました。

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