「麦の穂をゆらす風」

2006/12/27(Wed) 22:58
movies

1920年アイルランド南部の町コーク。若者たちがハーリングの試合に熱中している。デミアン(キリアン・マーフィー)はこれを最後に友人たちと別れ、医者としてロンドンで研修を受けることが決まっていた。楽しいゲームの後に待っていたのは、『ブラック・アンド・タンズ』の尋問。英語名をがんとして名乗らなかったミホールは殺されてしまう。このままではダメだ、立ち上がらなくては、と意志を固める友人や兄たちの横で、デミアンは確固とした態度を取れない。
ロンドンへ向かう列車に乗るその時、イングランド兵に抵抗して譲らない運転士や車掌を目の当たりにしたデミアンは、コークに残り、アイルランド独立運動に参加することを決意する。

ニール・ジョーダンの「マイケル・コリンズ」は『勇士コリンズの活劇譚』と言えなくもなく、彼の的確な戦術によって相手組織がやっつけられていくその様が、痛快にも感じられました。もちろんアイルランド独立紛争の歴史的な描写もありますが、賛否両論あるコリンズ(「麦の穂」の中では『裏切り者』呼ばわりされています)をたたえる物語になってしまっている面もあると思います。それとは違って今回の作品は、母国の窮状を救い、未来の子供たちが新しい人生を切り開いていけるよう道付けをしようと、ごく普通の青年たちが心身を砕いていった様が痛切に伝わってきます。都会のダブリンではなく、一地方のコークで、特別に訓練を受けたわけでも、潤沢な兵器を持っているわけでもない青年たちが、明日を信じて戦う。彼等と同じ志を持った若者たちがアイルランド全土で、同じように戦い、そして散っていったのです。

デミアンは鋤や鍬ではなく、ライフルやピストルではなく、ペンやメスを持つのが仕事でした。だから、ではないけれど、彼が銃を構えたり、銃を下げて歩いたりする姿はどこかぎこちない。本当は銃など持ちたくないという体の拒否反応が、表に出ないようにこらえているような。話し方も張りつめていました。本当は内向的で無口な青年が必死に語っている、自分たちの行いが明日につながるのだと無理矢理にでも信じて、自分を納得させるためにも彼は語らなくてはならない。キリアン・マーフィー、渾身の演技です。

ブラック・アンド・タンズの兵隊たちも、哀しいといえば哀しい。多分下層階級で、仕事もなく、何かにあたらなければ生きていけないような彼等を支配者階級は利用して、ガス抜き的にアイルランドに派遣した。当然のように彼等はアイルランド人を痛めつけて憂さを晴らします。

ケン・ローチは真摯だけれど残酷。嘘をついてくれない。でも嘘で誤摩化せるような現実ではないのです、あの後数十年に渡ってアイルランドは外でも中でも闘い続ける。大勢の命が奪われ続ける。

私はラグビーをよく見ます。フットボールでは、イングランドのプロ・リーグのレベルが突出して高くなっていますが、ラグビーはそんなことは全く無く、特に今はイングランド代表がかなり低調なこともあって、アイルランドやウェールズ、スコットランドの各代表がそれぞれ輝いています。日本人にとっては、「なぜ英連邦代表とかにしないの?その方が強いだろうに」なのかもしれませんが、それはあり得ない。全く別の国なのです、スポーツを見ていればわかります。

最初は兄テディのほうが目を開いていたけれど、途中から彼は目をつぶってしまった。代わりにデミアンが、見ないつもりだった世界を凝視し、最後まで目をつぶらなかった。聖クリストファーのメダルを渡されたテディは、その後閉じた目を開くことができたでしょうか?
デミアンの瞳はとても美しい青でした。

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新ボンドさん。

2006/12/15(Fri) 10:13
movies

「カジノロワイヤル」見てまいりました。ストーリーとは関係ない感想をあれこれ。
1. ダニエル・クレイグさん、鍛えてます。
私が見た「Jの悲劇」「10ミニッツ・オールダー」「トゥームレイダー」「ロード・トゥ・パーディション」のどのクレイグさんよりも、いいカラダしてたような。顔よりも二の腕のほうが太い?なわけないか。newヒーローって感じで私は好きだ。
同行した友人は「ボンドって感じしないけど」この一般的な『ボンド像』ってどういうものなんだろう?やっぱショーン・コネリーが絶対で、それにどこまで近づけるか、なんでしょうか。
2. エバ・グリーンさん、化粧薄いほうが私は好き。
ドレスに着替える前の白のローブ姿の時だけ、すっぴんに近くて別人みたいな。アイラインって顔変えるんだなぁ~「ドリーマーズ」の映画としての印象が悪いので、エバ・グリーンってどうよと思ってました。まあ、可もなく不可もなく。
3. ジャンカルロ・ジャンニーニさん…嗚呼。
この人、ハリウッド映画に出ると、大体こういう役回りだ。いわゆる『サプライヤー』的な人。で、絶対何か裏があるよね、と思わせるタイプ。「イノセント」の時の面影はいずこ。
4. ジェフリー・ライトさん、好きだわ。
この人も絶対何かある!の人。ただ今回のラングレーの人ってのは似合わない。と、思う。
5. ポーカーのルール
知ってたほうがいいね、絶対。諸外国では常識なんでしょうか?トランプといえば七並べとかババ抜きというレベルではいかんですなぁ。

総じて楽しかったです、はい。

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Huff S2 #1『Maps don't talk』

2006/12/12(Tue) 22:20
FOX系

S1最終回の争乱エピソードの続き。
ベスとの喧嘩、ラッセルとイジーが寝ていたこと、テディの失踪、ハフは頭がいっぱいで患者の話に集中できない。
ラッセルは首にコルセットのカラー、胴体にもぐるっと青い湿布薬みたいなのを巻き付け自宅で仕事、マギーが補佐。今やお互いに『最低のクソ野郎』と化したハフとラッセル、関係修復の日は来るのか。
ベスの母マデリンの容態はますます悪化している。歩く事も困難で、ニュージャージーに帰るのも危うい状態。ベスはハフに思いきりぶつけたせいか、ちょっと落ち着いた感じ。でも、マデリンの衰弱していく様をそばで見ているのは、とてもつらい。
イジーはショック状態のまま。自室にこもって一日中アルコール漬け。食事らしい食事はとってないようだ。
大人たちが全員不調・乱調・不機嫌・めちゃくちゃな中、バード一人が平常心をキープしているが、だからといってどんな言葉も受け止められるわけじゃない、1週間で25才にはなれないもの。イジーに「私はロイスを殺したの」と安楽死の告白をされて、もうびっくり。何と言えばいいんだい、くそ。「分かってくれるわよね?」と言われても困ります。墓場まで持っていくつもりだった、とイジー。そうです、持っていくべきでした。でも今のイジーには余裕が無い、余りにも追いつめられていて、優しいバードについ話してしまった。バードは混乱しつつもジョークを返し、イジーを笑顔で力づける。あんたが一番大人だよ、バード。ハフ、見習え!
ラッセルの新しいクライアントとしてシャロン・ストーン登場。久しぶりに動くシャロン・ストーンを見たけど、この人の声や話し方って特徴が無い、抑揚に欠けるというか。昔はもうちょっとキャラが立ってたような気がするんだけどなあ。
失踪したテディがメキシコからハフに電話。精神状態は全然よくなーい。当然ハフはテディを見つけるべく、メキシコ行きの準備。
そして最後に、1週間ぶりに顔を合わせたイジーに向かって、言葉の爆弾を激しくぶつける。「テディがティファナに逃げたのはあんたのせいだ、あんたが会いにいかなかったからだ、会いにいかずにラッセルと寝てたんだっけ。何を怖がってるんだ?勇気も思いやりも愛も見せないで。」
イジーは会いに行ったよ。遠くからだけど、テディを見つめるイジーの目には愛があった。ハフにはそれが見えないわからない。

終始ハフのおとなげない言動が気になる・気に障るエピ。患者に対する態度もそうだし、ベス、ラッセル、イジーにぶつける言葉の思いやりの無さ。ショックなのはわかるけど、あなたの職業は何でしたっけ?
この混乱した初回が、少しずつほぐれていくのかな。シャロン・ストーンとラッセルの間にも何かが(良いこと悪いこと両方)起きるのでしょう。グラスの底に沈んでしまった幸せを、イジーが取り戻せる日が早く来ますように!

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