ドキュメンタリー2本。

2006/10/26(Thu) 10:20
movies

wowowで11月に放送予定の2本、ドキュメンタリーが嫌いじゃなかったら&見たことのない作品だったら、是非見てほしい。

「ヴァンダの部屋」2000年ポルトガル/ペドロ・コスタ監督 11月1日深夜1時半~
ポルトガル・リスボンのスラムに暮らすヴァンダを追う179分。全く長さを感じない。薬物中毒の日々ではあるけれど、誇りは忘れていないし、ユーモア感覚も持ち続けている。引き込まれる。映像美という言い方はしたくないけど、闇と光のコントラストがきれい。
悲惨一辺倒ではなく、あちこちで笑える。笑っていいのかと思わないでもないけど、独特のおかしみがあるヴァンダ。

「動物園」1993年アメリカ/フレデリック・ワイズマン監督11月8日深夜1時半~
ワイズマンのドキュメンタリーはぜーっっっったい一度は見た方がいいと思う。この「動物園」私は未見なのだけれど、ワイズマンにハズレ無し、wowowのガイド見て狂喜乱舞しちゃいましたよ。
リアルに時系列に出来事が淡々と進んでいく。かといって無作為かといったらそうではない。圧倒的な情報量から自然に物語が見えてくる。解釈や意味付けをワイズマンは強要しない。
題材によってはただただ圧倒されるし(『肉』の延々と続く屠殺シーンとか)、『DV』のどうしようもない現実にうなだれてしまう。でもとにかく面白い。『福祉』(1975年)の、市民vs福祉担当の攻防シーンはホントに面白かった。まあとにかく市民のパワーはすごい。生きてくためには食べなきゃならないのよ、書類?手続き?そんなもん知ったことか、とにかく今日のごはん代をちょーだいよ(怒)とつめよる市民に対して、あくまでも役所の規則に従って白黒ぴしっと分けて対応する職員と、グレーゾーンを適用してなんとか救ってあげたいと思う職員がいる。双方のパワーが凄い。そういうシーンを半端なカット数じゃなくて省略することなくずっと見せてくれるからますます面白い。
今度の「動物園」がどんな人間や動物を見せてくれるか楽しみで仕方ないです。

今日本で入手できるワイズマンのDVDは「Ballet バレエ」と「コメディ・フランセーズ」の二枚だと思う(多分)、ご近所さんだったら皆さんにお持ちしたい!と思うくらいとても好きな作家です。

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白いカラス

2006/10/13(Fri) 23:00
movies

「白いカラス」ロバート・ベントン、2003年、アメリカ。
コールマン・シルク(アンソニー・ホプキンス)は古典文学の権威、欠席を続ける学生を指して「spook」と言ったがために大学を解雇になる。件の学生が黒人であったため、「spook」は差別表現とされたからだ。過去に彼が採用した黒人教授も味方になってくれなかった。要は人望がなかったということ。辞職したその日妻が倒れそのまま亡くなってしまう。一瞬にして社会的地位も家族も失ってしまった男が、新しく出会った女フォーニア(ニコール・キッドマン)のおかげで活力を得たように見えたが、出会いには歓迎すべからざるものも付いてくるのが世の常。そしてコールマンには墓場まで持って行くつもりの秘密があった。

原題の「Human Stain」という言葉が終始頭を離れない、人間のしみ、汚れ。拭けば取れるもの、拭いても何をしても取れないもの、取れないと本人が思い込んでいるもの、取ろうとしないもの。2人にはどうしても取れない忘れられない過去の傷があった。お互いに溺れても、そのstainは消えない。むしろ鮮明に浮かび上がってきてしまう。
結果として道行きみたいな映画で、見る人によっては最後が釈然としないかもしれない。もちろん彼等に心中するつもりなどなかったけれど、秘密を語り理解し合った後の行き着く先に、幸せな将来を想像できないのは日本人的な見方か。
あちこちで指摘されていることだが、ジャン=イブ・エスコフィエのカメラが素晴らしい。コールマンがフォーニアと初めて会った日の車中、彼がフォーニアの煙草に火をかざした瞬間フォーニアの顔が炎で照らされる、その光が美しい。これが遺作になってしまったというのが非常に惜しい、独特の美を描ける人だった。
エド・ハリス、ゲイリー・シニーズも見事。若き日のコールマンを演じるのが「プリズン・ブレイク」のウェントワース・ミラー、これまた見事。各人の演技を見るだけでも十分価値のある映画。
が、毀誉褒貶の度合いが激しい。アメリカの評価サイトではかなり低評価。そうかなぁ~私は2回見たけど好きな映画であることは変わらない。ロバート・ベントンだから甘いのかもしれない、
とても好きな監督なので。

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紙屋悦子の青春

2006/10/07(Sat) 23:03
movies

「紙屋悦子の青春」黒木和雄監督 2006年 日本
太平洋戦争末期の鹿児島。悦子(原田知世)は兄安忠(小林薫)、兄嫁ふさ(本上まなみ)と3人で暮らしている。ある晩兄は悦子に縁談の話があると言う、後輩の明石(松岡俊介)の紹介で、永与(永瀬正敏)という男だという。ふさは「えっちゃんは明石さんが好きなんだと思う」、事実悦子は明石のことを想っていた。しかし明石は飛行機乗り、特攻隊への志願を決意していた。だから陸に残る永与に悦子を託していきたかったのだ。悦子もそんな明石の気持ちを十分理解していた。
突撃の前夜、明石が悦子たちを訪ねてくる。いままでお世話になりました、お元気で、お幸せに。明石が去った後、悦子は誰はばかることなく号泣する。それまでずっと抑えていたものが噴出するがごとく。
数日後、永与が訪れる。両親に会ってほしい。悦子は快く承諾、平戸はいいところなんでしょうね。更に永与は明石から預かった手紙を悦子に渡す、遠慮する悦子に「私の事は気にしないで。彼の分もあなたのことを大事にします」部屋の外では桜が散り始めていた。

縁談の話を悦子に切り出す夜のシーンが心に残る。兄とふさと悦子がとっておきのお茶を飲む、父が出張先の静岡で買ってきたお茶はなんておいしいのだろう。空襲で亡くなった両親の昔話をして3人が笑い転げる。翌日から兄は徴用で熊本に行かなくてはならない、悦子は縁談だ。お茶だけの最後の晩餐、最後の暖かなひととき、3人ともそのことをよくわかっている。悦子が号泣するシーンよりも3人が揃っているシーンのほうが切ない。じゃあまたあした、というわけにはいかないから。
映画の最初と最後で、年老いた悦子と永与が病院の屋上で何をするともなしにベンチに腰を降ろし景色を眺めている。多分永与は自分の死期が近いことを悟っているのだが、まだ彼には明日がある。また明日悦子とこの屋上でゆっくり過ごすことができる。でもふと心をよぎるのは「なぜ自分は生きているのか、生きてていいのだろうか」という思い。「死んだら何にもならないんですよ」と悦子は言うが、2人とも心の底では死んでいった明石のことをずっと考えているに違いない。彼は死んで自分たちは生きている、その違いは何だったのだろう?
テーマは重たいが映画全体のトーンは決して重苦しくない、小林薫と本上まなみのやりとりはまるで漫才みたい、何度も笑った。原田知世を見るのは久しぶり、凛とした表情と立ち居振る舞いがとてもよかった。
いい映画だと素直に思う。しみじみと、粛々として。

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